「媚び」

「上に媚び、下に傲慢、という種類の人物は、自分の智略、器量に自信がない証拠である。」
(「最後の将軍」文庫本P.74より、司馬遼太朗)

確かにこういうことはいえるだろうと思います。たとえば現代でいえば、会社などの職場においても同じようなことがいえそうです。

会社での上司へのごますり、ご機嫌取り、何を指示されてもYESしか言わないようなYESマン。

上司にとって不利になるような情報は流さず、あえて聞き心地の良い情報しか流さないような人はたくさんいるようです。

これはまあ自分や家族の生活がかかっているため自分の出世や人事上で不利にならないよう不本意ながら我慢してやっているという面もあり、同情すべき点はあるだろうとは思います。

現代サラリーマンの悲哀の一つでしょうか。

こういう人たちは多いだろうと思います。ただ問題なのは、こうした人たちの中でも、さらに部下や、後輩たちに対しては、傲慢であり、一方的に意見を押し付けたり、わがままであったり、えらそうに威張ったりしているような人たちです。

自分のサラリーマン時代を振り返っても、確かにこういう人たちがいました。

そしてこうした人たちが部や課の長をしていた場合、自分のグループにメンバーをたくさん抱える傾向にあるようです。

なぜなら自分の智略や器量に自信がないからです。自己保身のために周りを大勢で固めようとします。

企業効率からいってもマイナスです。

いわゆる小物です。

たいした人物ではありません。

誰も尊敬しません。

こういう人たちに部下はついてきませんし、だんだん離れていき、いざというときに
助けてくれないでしょう。

自分の才能、能力、知恵、器量などに自信を持っているような人は、上に媚び、下には傲慢というようなことはしないでしょう。

こういう自信を持っている人たちは、自分の信念、哲学意見等をもっています。

また人間としての器も大きく、人に対して寛容です。

それに則って生きていくので、上に媚、下に傲慢ということはありえません。
こうした人物になりたいものです。

本テーマ完