口は一つ、耳は二つ, なぜ?(2)

 (しゃべりたがる理由)

 どうして人にこのような傾向があるのか、いろいろと調べたり,考えてみたりもしましたが、世界的ロングセラーとなったD・カーネギー著の「人を動かす」が参考になりそうです。

この中で著者はアメリカの第一流の哲学者であり教育家でもあるジョン・デュ―イの
次のようなことばを紹介しています。
 
 「人間の持つもっとも根強い衝動は、『重要人物たらんとする欲求』である。」

 さらに、すぐれた心理学者としてウィリアム・ジェームスの次のことばも紹介しています。

  「人間の持つ性情のうちでもっとも強いものは、他人に認められることを
渇望(かつぼう)する気持ちである。
 
 どうも淵源はこのへんにありそうです。「重要人物になりたいという欲求」も
「他人に認められたい、評価されたいという欲求」も同じ欲求の違った表現でしかありません。

二〇世紀の偉大な心理学者フロイトのいう「偉くなりたいという願望」も同じでしょう。
 
 D・カーネギーはこれらをまとめて「自己の重要感に対する欲求」といっています。

この欲求は個人の成長の源泉ともなっています。この欲求があるからこそ社会も発展します。
 
 ただ、往々にして人は、もっとも強い欲求であるこの「自己の重要感」を満足させるために、他人の話に耳を傾けるよりもより多く自己主張をするのだと思われます。

これは度が過ぎると一種の自己顕示欲となります。
 
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